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Act02-11



 宇宙では時間の区分が曖昧であり、一日が巡るという概念が自然現象としては存在しない。もちろん宇宙でも時間は流れているのだが、惑星上での生活のごとく朝になれば日が昇り、夜になれば暗くなるということもない。
 しかし人間は良くも悪くも時間に縛られる生き物であり、恒星間航行で宇宙を旅する間には、目的地の惑星に合わせた二十四時間制の艦内時刻に沿った生活を行うのが普通である。そのため、宇宙を行き交う船ではそれぞれ別の時間区分を使用していて、この船では朝の起床時間帯であるのに、あの船では夕食の時間帯ということもある。
 ひとつの船団、艦隊群では艦内時刻を相互に合わせるものだが、宇宙の真ん中で合流することになった子爵領艦隊と第四方面区警備隊の駆逐艦二隻では、当然ながら異なる艦内時刻を適用していた。
 ここで一つの問題が浮かぶ。夜の一九〇〇時に食事へ招待する、と戦艦アウィスから駆逐艦レルヒェ三号へ通信が送られるとする。果たして両者が同一の時間を約束の時間として認識できるかといえば、艦内時刻とは違う、互いに共通する時間の尺度が当然求められる。
 そういった不便を解消することも兼ねて、銀河帝国では宇宙艦が個別に運用する艦内時刻とは別に、帝都オーディンを基準にしたオーディン標準時刻という時間区分が公式な時間の尺度とされているのだった。皇帝のおわすオーディンこそ全宇宙の中心、あらゆる臣民はオーディンの日の巡り方を基準にせよ、というわけだ。
 そのオーディン標準時刻一三〇〇時、戦艦アウィス内時刻では一九〇〇時に客人を迎えたは、自分の見通しの甘さを痛感していた。
(……これだと、ファーレンハイトとまともに話できない)
 士官食堂の奥に用意された晩餐のテーブルには、総勢十名ほどが着席していた。
 上座に当たる長細いテーブルの短い辺に子爵夫人たる――。長い辺の一方にはから近い順に、主賓のファーレンハイト少佐、そして友人であるからと隣にヘルツ少佐、その他の佐官級参謀陣が座を占めている。彼らの向かい側にはゲーテ准将、ヴィーラント大佐、それにブラッケとオスマイヤーの顔触れも揃っていた。警備隊から同行したもう一隻の駆逐艦レルヒェ四号艦長の壮年少佐は、軍務に礼は不要と招待を辞していた。
 ファーレンハイトを招くにあたり、は帝都までの護衛への御礼という題目を掲げたが、それは“子爵夫人の名における”晩餐への招待だった。しかし・フォン・の名を出せば、あらゆる物事は自動的に公的な行事と化してしまうことを、浮かれていたは失念していた。
 が思い描いたこじんまりとした食事風景はどこへやら、白いクロスのかけられた広いテーブルには規則正しくカトラリーやグラスが並び、戦艦アウィス内の身分の高い人間があらかた集合する事態となった。
 領内の誰か(ヘルツ少佐やゲーテ准将など)と食事を共にしてもこうはならないが、外部の人間を招くとなれば子爵家の名に恥じぬ晩餐会にせねばならない、というわけだ。
(こんなはずじゃなかった)
 総勢十人ほどの食事会では、ファーレンハイトと話し込む余裕はにはない。何しろ場を盛り上げ、もてなすのは子爵夫人のお役目である。一人だけ特別に贔屓できる場でもないことは、さすがに弁えているであった。
「ヴァルハラへゆきし兵士達への哀悼と、それでも巡る新たな日々のために」
 ゲーテ准将の渋い言葉を唱和し、グラスを捧げて乾杯した。プロージットと言って、グラスを床に投げ捨て砕いたりはしない。あれは出征前の験担ぎだった。
 皆が着席して一通りの自己紹介が済んだ後、無礼講をが言い渡し(立場的にはが告げるのが慣例であった)、晩餐が始まった。
 一人だけ中身の違うグラスを残念に思いながら子供の飲み物を味わうに、ファーレンハイトが宮中であるように形式に則って第一声を掛けた。
「小官から子爵夫人へお声を掛ける無礼をお許し頂けますか?」
「本日は無礼講です。遠慮なく、いつでも、なんでも仰って下さい」
 領内の人間には身分には構わず会話するよう宣言しているには、久しぶりのやり取りである。
 水色の瞳に銀色の髪を持つファーレンハイトは、その顔立ちに相応しい優雅さで軽く目礼する。
「改めて、お招きに与り光栄です、子爵夫人。司令参謀殿の言うお若い才気溢れる“閣下”にも是非お会いしてみたいと思っておりました。それに名高い子爵領艦隊の食事を堪能できて、話の物種にもなると楽しみでした」
 は口惜しさにも似た寂しい気持ちを隠して、鍛えられた猫かぶりで応じた。
「ヘルツ少佐がファーレンハイト少佐にどのようなお話をされたのか気になるところですが、才気溢れるなんてとんでもない。わたくしは、一人では何も出来ない未熟者です。世辞が過ぎるというものです」
「うら若き子爵夫人は、謙虚でいらっしゃるようだ」
「本当のことですから。それにわたくしからも、ファーレンハイト少佐に改めて御礼を。任務とはいえオーディンまで同道下さってありがとうございます。当家の艦隊で供する食事には、わたくしが申し上げるのも料理長に申し訳ないですが、多少の自負もありますので是非楽しんで下さい」
「ええ、そうさせて頂きましょう」
 互いに立派な社交辞令だった。
(なんだろうこれ。もう少し、こう、砕けた雰囲気でファーレンハイトと話をするつもりだったんだけどなあ)
 しかしこれが現実というものだと、は気落ちしつつフォークに突き刺した茸ソテーを口に放り込んだ。
 見知らぬ他人に話し掛けられても、警戒するか表面的な応答となるのが普通の反応だろう。特に銀河帝国における階級や所属の差は、人間関係においても高い壁となる。
 今日の食事も随分と方々から訝しがられた。礼をするという名目であれ、子爵夫人がそこらの少佐を気軽に食卓に招いたりしないものなのだという。きっとファーレンハイトも、なぜ自分が辺境子爵領の領主に食事へ誘われたかと様々に思い巡らしているに違いなかった。
(興味があります、原作的に)
 だから食事に誘ったなんてオチなど、以外に一生知ることはないだろう。
(私って、実はもう原作の人たちと気楽に話せない立場なんだよね、はあ)
 とっくに分かっていたものの、こうして目の当たりにすると改めて身分が恨めしかった。
 だが今更、・フォン・以外の何者にもなれない。
(お忍びでいつまで遊べるかが勝負? )
 悩みながらも前菜を平らげたは、場を温めるため客人へ話題を提供することにした。
 繊細な三大テーマ、政治宗教軍事を避けるとなれば、ファーレンハイト少佐に振れるのは無難にヘルツ少佐ネタしか浮かばないである。
「ファーレンハイト少佐は司令参謀のヘルツ少佐と士官学校同期であったと聞きましたが、卒業以降もよくお会いになっていたんですか?」
「いいえ、あまり頻繁ではありませんでした。以前に会ったのは…もう随分前のことです」
 食事の手を止め応じたファーレンハイトの声を継ぎ、ヘルツも話題に加わる。
「顔を合わせるのは五年前にオーディンで会って以来のことです。長く会っていなくとも、以前に会った頃と変わらぬ心地がするから、不思議なものですね」
「よいお友達なんですね、お二人は」
 純粋過ぎる少女の一言にファーレンハイトとヘルツは決まり悪く曖昧な顔を互いに見合わせる。
「そういった直接的な表現は、小官らのような男同士ではどうも気恥ずかしいものです」
 ファーレンハイトは間接的に肯定を返し、芳しい白ワインを嚥下した。
 食事は二皿目までしか至っていないが、自艦は言うに及ばず上官のフレーゲル准将の艦でもこうはいくまいという味の良さであった。
(なるほど、子爵夫人は料理に拘りがあるという風聞は真実だったか)
 さらなる噂では、子爵領軍内の一般兵士達の食事の味も他部隊とは雲泥の差というが、そちらもあながち間違っていないように思えた。
 テーブルにいる子爵領軍内の将校が、揃いも揃って子爵夫人に対して好意的だ。食堂へ至るまでの通路でも兵らの顔に荒んだ様子は見られず、規律も行き届いているようにも見えた。案内役の下士官に子爵夫人のことを尋ねてみれば、先の戦闘では後尾の駆逐艦を助けるため、自分だけ逃げることをよしとせず皆と戦うと宣言したと、喜色満面に自慢される程である。
 ファーレンハイトは運ばれてきたメインの肉にナイフを入れつつ、水色の瞳を静かに向けて黒髪の少女を伺った。
 ・フォン・子爵夫人。歳は十五という黒髪黒目の少女は、年頃の娘だというのにどうにもそうは感じられなかった。
 顔立ちは可愛らしいと形容できるものの、色気は乏しい。艶で他人を魅了する風では全くない。
(想像していたよりは、屈託ない娘だな)
 礼儀作法を身につけているのは、貴族令嬢であれば大方そうである。喋り口も、選ぶ話題も大人しい少女そのもの。その姿は巷に流布する話とは大違いである。
 パランティアの英雄たるコンラッド・フォン・の孫娘で、政治経済軍学まで学ぶ才女、皇孫エリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイク公爵令嬢とアマーリエ皇女殿下のお気に入り、ヴィーゼ伯爵家とミュッケンベルガー伯爵家の令息を手玉に取る女、リヒテンラーデ帝国宰相の年下の愛人、和食を売り出した腕利きの商売娘、どれも彼が耳にした・フォン・子爵夫人の代名詞である。
 若い割に頭の切れる美女なのだろうという勝手な印象があったが、どうにも思い込みに過ぎなかったようだ。噂の内、少なくとも手玉に取る女とか、年下の愛人という件は虚偽に分類されそうだとファーレンハイトは判断する。
(先程の下士官の話が本当ならば、外側はともかく中身が優れているのは確かなのかもしれんが、さてどうかな)
 さり気なさを装い、いくつか国情や経済に関わる話題を振ってみる。ここへ来る前に、彼は幾つか腹案を用意していたのだ。
 話の切れ目に彼の試みは開始された。
「そういえば近頃、人造蛋白製造業への課税率が高まったようですが、それらを多く生産なさるという子爵領に影響はないのですか? いや、こういった話を申し上げるのは、小官の妹が嫁いだ家が同じく増税された品を扱っておりまして、他領ではどうなのだろうと思いまして。このように他家の方に訊ねられる機会も小官にはそうありませんから、不躾な質問でしたら失礼いたしました」
 急な話題転換に少し驚いた様子だったが、まだ少女と呼べる年頃の子爵夫人は、構わない、と笑った。
「そうですね、急な増税には驚きましたが当家も他の主要産業がありますし、それにもともと人工蛋白は軍へ納める分が多くてそちらは免税されますから、大きな影響といったものはありません。ただ民間へ卸す全体量は帝国内で大分減ったらしく、市場では人造蛋白を材料とする加工品が高騰してしまっているようですね。巷では赤子に与える人造蛋白ミルクも買えぬと訴えが相次いで、子爵領内ではミルクへの助成金を出すことになりました」
「民が苦しむ増税など嘆かわしい! どうせ財務尚書カストロプ公が懐へ隠す金を増やすために行ったに違いない」
 ファーレンハイトの斜向かいに居た壮年の文官が嘆く声に、宥めるよう子爵夫人が続けた。
「けれど今回の増税は一時的なものになりそうですよ。さすがに人造蛋白類の値上げは許容できぬと、国務尚書閣下が財務省へ圧力をおかけになるようですから。半年か一年後には元の税率へ戻るようです」
「これは良いことを聞きました。早速、妹へ伝えましょう。貴重なお話をありがとうございます、子爵夫人」
 他の話題にも黒髪の少女は的確な返答を寄越したのを受けて、ファーレンハイトは内心で感嘆する。
(なるほど、これはこれは、本物かも知れぬ)
 旧知のヘルツが五年前にいみじくも言った、普通でない令嬢、という意味が今の彼には具体的に納得できた。
(さて、では俺はどうすべきか)
 メインディッシュを食べ終え、デザートを待ちながら彼は思案する。
 突然の晩餐へ招かれたファーレンハイトが、快くとは行かぬまでも嫌というわけでもなく・フォン・子爵夫人の招待を受け入れ、戦艦アウィスへと馳せ参じたのには理由があった。
 ファーレンハイトは、これまで子爵夫人と面識を得たことはなかった。同じフォンの称号を持つ身とはいえ、彼は貴族の末席に程近い貧乏貴族の出である。位は男爵であるものの、ファーレンハイト家は由あって困窮していた。それこそ、食うに困る程に。
 そのため彼は年頃になると士官学校の門を叩き――正確には家で養ってもらえなくなったので――食べていくために軍人となった。なりゆきで選んだ軍人の道には幸いオーディン神の加護があったようで、士官学校卒業後には軍服の銀飾りも着々と増え、ファーレンハイトの生活は窮乏を脱して生家の傾きの角度も緩くなりつつあった。
 とはいえ相変わらず宮廷や華やかな世界との縁は薄く、辺境ながら領地を持ち治める子爵家の女当主とも、吸う大気だけでなく暮らしの面でも隔絶していた間柄である。
(これまで接点が皆無であった子爵夫人が、なにゆえ俺のような者を晩餐へ招こうというのか?)
 食事へと誘う通信文を受け取ったファーレンハイトは、まずそのように思った。
 彼は持たざる者だった。治める門地も、良い家柄も、名声も、金も彼にはない。オーディンまでの同行も軍令あってのこと、彼個人の思惑も関与しておらず、子爵夫人に自分を売り込んだ覚えもない。顔を合わせたのは、唯一思い出せる限りには通信画面越しに挨拶の口上を述べた時ぐらいのもの。
 その上での誘いとなれば、警戒心も湧く。権謀術数は貴族の世の習い、甘い蜜には罠の存在を疑わぬほど純真でもない。
(俺ぐらいの軍人をもてなしても、何の利益もないはずだがな)
 面倒を避け、招待を辞する選択肢も彼には与えられていた。
 直属の上官たるブラウンシュヴァイク公爵家ゆかりのフレーゲル准将は、過日の様子を見る限り子爵夫人にご執心の様子であった。その子爵夫人のご相伴にあずかったとなれば、いらぬ厄介事まであずかることになりかねない。
 だがそうは思いながらも、ファーレンハイトはこの場に身を置いている。
 招待に賭けるべきか否か迷いはしたが、これぞ好機と彼は見たのだった。
 ファーレンハイトは、子爵夫人が何らかの思惑あって自分を晩餐へ招待したと考えたのである。例えば、何かの利便を供与してほしい、といった思惑である。
 彼が持てる数少ないカードを吟味すれば、おのずと答は限られていた。子爵夫人は、自分の軍務に関わる何事かを欲しているのではないか?
 その仮定の検証として、噂の真偽は確かめた。子爵夫人が才溢れる少女であることを、彼はこの食事で認めるに至った。そうとなれば後は話題が出されるのを待つだけだったが、一向に子爵夫人は何も言い出さないのである。
(こちらが試したように子爵夫人も俺を試していたか。俺を使う価値はないと見たか?)
 悔しい気もする。また、利便を図ったとして得られるかもしれない見返りも惜しかった。
 日々の軍務に、ファーレンハイトは飽いていた。無能な上官であるフレーゲル准将の下では、自分の存在意義を見つけられなかったのだ。もっと別の、自らの能力を発揮できる場所へ移りたいと、彼は願っていた。子爵夫人の祖父は名だたる軍人であり、子爵家は軍関係に伝手も多いと聞く。そうであるならば、彼はより良い場所への転属を求めたかった。
 退くべきか、退かざるべきか、ファーレンハイトは逡巡した。しかし一戦も交えず退却するのは、彼の好むところでない。
 晩餐は終幕に近付いていた。赤、黄、緑と多彩な色と味の氷菓を楽しみ、食後のコーヒーや酒を片手に歓談する頃、ファーレンハイトは心を決め水面に一石投じた。
「ところで、失礼ですが子爵夫人、もうひとつお訊ねしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
 ブラッケと財務尚書カストロプ公の噂話(陰口ともいう)を交わしていたは、呼ばれてファーレンハイトへ顔を向けた。
「はい、なんでしょう?」
 先程は急に政治経済話を振られ、なんだか五年前のロイエンタールとの会話と似た流れだと自分でも感心していたのだが、次は何を問われるのだろうかと内心覚悟を決めたも、思わぬファーレンハイトの発言に思考が停止してしまった。
「子爵夫人は、なぜ小官を本日このように晩餐に招いて下さったのかと、お訊ねしたい。この招待には、何らかの意味がおありだったのではありませんか? 少なくとも、小官はそう思い参りました。いかがでしょう」
 ファーレンハイトの質問に、食卓の全ての会話がぷつんと途切れ、場は静まりかえった。それは恐らく、その場にいた全員が抱く疑問だったからである。
 なぜ子爵夫人は、帝国軍の一駆逐艦艦長にすぎないアーダルベルト・フォン・ファーレンハイト少佐を特別に呼び出したか?
 誰も直接に子爵夫人へ問いはしなかったが、何らかの深慮があるのだろうと、彼らの見解は一致していた。
 はファーレンハイトだけでなく、ゲーテやヘルツ、ブラッケ、その他の人々の視線を集めた上で沈黙せざるをえなかった。慌ただしく思考を回転させ、滝の冷や汗を内心でかきながら、である。
(なにこれ、なんでこんな流れに)
 何かを激しく期待されている気がするが、何を言えるというのだろう。単に会ってみたかったでは済まぬ勢いの、激しい情熱をひしひしと感じる。
 考えなしに藪をつつく真似はすべきではなかったと、後悔しても後の祭りである。
(答、もっともらしい答。ファーレンハイトをここに招いた意味。何か、何か!)
 一分ほど、は笑顔のまま固まっていた。
「申し訳ありません、子爵夫人、ご気分を害されましたか?」
「いいえ、そうではないんです。その……」
 しかし、これ以上は周囲の視線と無言の圧力に耐えきれぬとなって、ゆっくり口を開かざるをえなかった。
 答は、漠然と頭にあった妄想しか浮かばなかった。
「私がファーレンハイト少佐を招いたのはですね、実はお願いしたいことがありまして……」
「それは、どういったものでしょうか?」
 真剣に問い返す水色の瞳に、は思う。
 ああ、これがもしかして運命ってやつ?
 地獄の扉が開かれる音を、は耳にした気がした。
「すぐにとは申しません、ファーレンハイト少佐。どうか子爵領軍へ来て下さいませんか?」
 は泣き笑いの表情で、そう告げてしまったのだった。



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